非常食コラム

第5回 災害食に関する新しい動き

非常食のサイクル利用

 必要分をまとめて購入し、賞味期限が来るたびに入れ替えるという方法が、非常食の備蓄方法として一般的です。一方、新しい備蓄方法として、サイクル利用という方法が拡大しています。3年分の備蓄食料であれば、購入後1年目に防災訓練の機会などに1/3の備蓄食料で試食訓練を行い、使用分を補充する方法です。翌年からも1/3使用を続けることにより、賞味期間の長さを心配する必要はなくなり、毎年の予算を平準化できるなどのメリットがあります。試食訓練では、災害時に食べる方法で、災害時に食べる予定の対象者が、一食全部試食することが大切です。そうすることで、お湯の用意などの準備、食品への評価などを確認することができ、災害時を想定したより実践的な訓練ができます。

 これまで非常食の備蓄では、賞味期間内に消費される機会が少ないと指摘されていますが、賞味期間はおいしく食べることができる期間であり、その期間内に備蓄した食品を食べて消費する仕組みが求められています。また、日常生活の中で積極的に利用でき、災害時にも使用したくなる食品を増やすことで、賞味期間が3年以下の食品であっても災害時に利用できるようになります。この方法は、災害時に食べる事ができる食品の種類を増やし、購入価格を下げる効果も期待できます。


栄養

 東日本大震災では、被災者支援の取り組みに、これまでになかった栄養に関する2つの取り組みがありました。その取り組みは、宮城県と厚生労働省によるものです。

 地震発生から3日目となる3月14日、宮城県は財団法人日本健康・栄養食品協会に対して、避難所の栄養状態悪化と長期化に対処し、被災者の健康:栄養を確保するための物資について支援を依頼しました。その具体的な内容は、1.栄養不良者に対する低栄養対策を目的とする濃厚流動食、2.発熱・水分摂取不足者向けの脱水予防電解質入り飲料、3.ビタミン、ミネラル補給可能飲料です。これらの支援要請を受けた財団法人日本健康・栄養食品協会ならびに協会員は、被災地に向けた要請物資の提供、運搬に努めました。

 また、厚生労働省は、平成23年4月21日避難所における食事提供について、被災後3ヵ月までの当面の目標として計画・評価のための栄養の参照量を算定し、発表しました。このように東日本大震災では、長期間の避難所生活で必要な栄養量確保のために安定的に食事提供を行う条件の整備が急がれました。非常食においても栄養面などを考慮した備蓄方法が望まれています。

2013年12月20日




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